白血病タイピング検査概論

Study Book4 Introduction

コールター原理は、血球計数器のみならず、すべてのフローサイトメトリーのルーツでもある。

血球を1個ずつカウントし、その特徴を測定するためのすべてのパラメータを瞬時に計測できる近年のフローサイトメーター技術は、初めて目の当たりに接したときには本当に感激したものである。
「コールタ原理の発明の凄さ」に敬服するのみあるが、その進歩には、モノクローナル抗体の開発技術とコンピューター技術の進歩が両輪となってその発展を担ってきた。
免疫機能をつかさどるリンパ球の機能や病態解析のための研究に端を発したモノクローナル抗体の開発は画期的であり、その解析精度をあげるための機器の進歩もまたすばらしい歴史がある。
近年は円熟期にあるといえるほど日常検査として普及してきたが、さらに進化もしている。
特に、造血器腫瘍の診断とモニタリングには迅速な細胞表面解析(免疫表現型の診断)が不可欠であるので、保険収載されている検査である。
どこの検査室でも手軽に細胞表面マーカーの解析ができるというわけにはいかないが、検査センターに外注する施設でも、フローサイトメーターのデータは検査室が管理しているところが多い。
骨髄検査のカウントをする技師もその診断を行う医師も、細胞表面マーカーの結果には必ず目を通し、速やかに判読できるようにならなければならない。
そのためには、熟練を要する部分もあるが、結果のみを見るのではなく、スキャッタグラムや陽性パターンなどを形態学的特徴と対比させながら観察し考えることが大切である。
フローサイトメトリーの原理を理解し、解析法を理解すれば、細胞表面マーカー解析による免疫表現型の診断は、誰でもできるようになる。
上手に利用するためには、その原理や特徴、診断する上での問題点や落とし穴などを熟知しておく必要がある。
本書(Study Book4)はそうした思いの検査室に携わる人たちに、顕微鏡の横において気軽に利用してもらおうと企画した。是非そばにおいて利用していただきたい。
また、フローサイトメトリーは、いろいろな分野に利用可能で、応用できるジャンルの可能性は無限大である。
フローサイトメトリーの将来の発展性に向けて各自が夢を思い巡らせていただければ幸いである。

Beckman Coulter社は、Study Bookシリーズとしてこれまでに第1集 北海道大学 松野一彦教授監修「血小板検査ハンドブック」、第2集 慶應義塾大学 渡辺清明教授監修「COULTER LH700シリーズ Clinical Case Study」、第3集 大阪市立大学 巽典之名誉教授監修「自動血液検査品質保証論」の名著を刊行された。
これを受けての第4集であるので、これまでの実績に恥じない著書にしたいと考え、大阪医科大学附属病院中央検査部 池本敏行先生に主に技術的な面を、私が臨床的意義などの解説的なことを分担して執筆した。
時間がなく、説明不足な面も多々あると思われるが、ご容赦を願いたい。
本書を気軽に利用していただければ幸いである。(本コンテンツは、Study Book4 第4章を転載したものである)

2006年7月

国際医療福祉大学 臨床医学研究センター
川合 陽子