研究のためのフローサイトメトリー

Ⅵ. マウス・ラットのサンプル調製

1.マウス、ラット細胞浮遊液の作製

用意するもの 得られた細胞を培養する際は、すべて滅菌済みのものを使用してください。
  • Hank's BSS(HBSS)またはRPMI-1640(10mM HEPES加、血清不含)
  • ペトリディッシュ(直径5~10cm程度)
  • 50mLコニカルチューブ
  • 解剖用ハサミおよびピンセット
  • ピペット
  • スライドグラス(フロスト付)
  • 40~60μmナイロンメッシュ
  • 溶血剤

2.操作

① 組織の摘出 ① 組織の摘出
    • 頚椎脱臼などによりと殺したマウスを仰向けにして、全身に消毒用(70%)エタノールをかけます。
    •  腹部(中心よりやや下の辺り)に解剖用ハサミで切り込みを入れます。
    •  切り込みから上下に引っ張って皮を剥ぎ取ります。
    • 脾臓は左脇腹に位置します。腹膜に切り込みを入れて、摘出します。

           

    • 胸腺は胸骨の背面(心臓の上に覆い被さるよう)に位置します。胸骨の下辺りからハサミを入れて横隔膜を肋骨から切り離し、 肋骨にもハサミを入れます。両側にハサミを入れたら上方向に捲り上げると心臓の上を覆うようにある白いハート型の組織が胸腺です。心臓を傷つけないように 気をつけながら摘出します。

           

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      腋窩リンパ節は、腕をバンザイさせた時に腋の下に見える、半透明の組織です。できるだけ脂肪組織は切り取らないように摘出します。(ピンセットでつまみ取れます)
      膝窩リンパ節は、下肢から剥ぎ取った皮の方にくっついてきます。膝の辺りにあったと思われる皮の部分で、毛細血管が3本交わった中央に、膝窩リンパ節が存在します。

② 浮遊細胞の調製 ②-a. 脾細胞の場合
a. 脾細胞
    • 摘出した脾臓は、冷HBSSもしくはRPMI-1640中に保存します。
    • 冷HBSSを10~20mL入れたペトリディッシュに脾臓を取り出します。
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      ピンセットで脾臓の片側をつまんで、もう1本のピンセットの背中で脾臓をしごくようにしてほぐし(脾臓を泳がせるようにしながら)、細胞を分散させます。
      スライドグラスを用いる場合は、ハサミで組織をある程度細切し、力を入れすぎないようにフロスト部分ですりつぶします。
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      ピペットで細胞をコニカルチューブに集め、氷中に5分間静置します。
    • ピペットを用いて、沈降した組織塊を入れないように注意しながら
      、浮遊液を別のコニカルチューブに移します。
    • 300×g、5分間遠心分離を行い、上清をデカントまたは吸引除去します。
    • HBSSを20mL加え、ピペッティング後、300×g、5分間遠心分離を行い、上清をデカントまたは吸引除去します。
    • 細胞ペレットをほぐし、溶血剤*を1mL加えてピペッティングします。
      溶血剤*:0.83%NH4Cl
    • 室温で2~5分放置後、冷HBSSを20mL加え、300×g、5分間遠心分離を行い、上清をデカントまたは吸引除去します。 溶血が悪い場合は8~9の操作を繰り返します。
    • HBSSを20mL加え、ピペッティング後、300×g、5分間遠心分離を行い、上清をデカントまたは吸引除去します。
    • HBSSを10mL加え、細胞懸濁液をナイロンメッシュに通します。
    • 血球計算板等を用いて細胞数をカウントします。
    • 残りの浮遊液を300×g、5分間遠心分離して、上清をデカントまたは吸引除去します。
    • 細胞濃度が5~10×106/mLとなるようにHBSSを加えて、十分にピペッティングを行い、染色まで氷中に保存します。 直ちに染色、測定しない場合は、2%FCSを加えてください。

b. 胸腺細胞 ②-b. 胸腺細胞の場合
  • 摘出した胸腺は、冷HBSSもしくはRPMI-1640中に保存します。
  • HBSSを10~20mL入れたペトリディッシュに胸腺を取り出します。
  • ハサミで組織を大まかに細切し、2枚のスライドグラスのフロスト部分を使ってすりつぶします。
  • ピペットで細胞をコニカルチューブに集め、氷中に5分間静置します。
  • ピペットを用いて、沈降した組織塊を入れない様に注意しながら浮遊液を別のコニカルチューブに移します。
  • 300×g、5分間遠心分離を行い、上清をデカントまたは吸引除去します。
  • HBSSを20mL加え、ピペッティングします。
  • 300×g、5分間遠心分離を行い、上清をデカントまたは吸引除去します。
  • HBSSを10mL加え、細胞懸濁液をナイロンメッシュに通します。
  • 血球計算板等を用いて細胞数をカウントします。
  • 残りの浮遊液を300×g、5分間遠心分離して、上清をデカントまたは吸引除去します。
  • 細胞濃度が5~10×106/mLとなるようにHBSSを加えて、十分にピペッティングを行い、染色まで氷中に保存します(直ちに染色、測定しない場合は、2%FCSを加えてください)。
c.リンパ節細胞 ②-c. リンパ節細胞の場合
  • 摘出したリンパ節は、冷HBSSもしくはRPMI-1640中に保存します。
  • HBSSを10~20mL入れたペトリディッシュにリンパ節を取り出します。
  • ピンセットで脂肪組織を取り除き、2枚のスライドグラスのフロスト部分を使ってすりつぶします。
  • ピペットで細胞をコニカルチューブに集め、氷中に5分間静置します。
  • ピペットを用いて、沈降した組織塊を入れない様に注意しながら 、浮遊液を別のコニカルチューブに移します。
  • 300×g、5分間遠心分離を行い、上清をデカントまたは吸引除去します。
  • HBSSを20mL加え、ピペッティングします。
  • 300×g、5分間遠心分離を行い、上清をデカントまたは吸引除去します。
  • HBSSを10mL加え、細胞懸濁液をナイロンメッシュに通す。
  • 血球計算板等を用いて細胞数をカウントします。
  • 残りの浮遊液を300×g、5分間遠心分離して、上清をデカントまたは吸引除去します。
  • 細胞濃度が5~10×106/mLとなるようにHBSSを加えて、十分にピペッティングを行い、染色まで氷中に保存します(直ちに染色、測定しない場合は、2%FCSを加えてください)。