健常者末梢血リンパ球のCD4+CD25+細胞 (CD4-PC5でゲーティング |
|||
---|---|---|---|
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
CD4-PC5/SS | HLA-DR-PE | CD62L-PE |
Regulatory T細胞(Treg,Tr)は、Th1やTh2とは異なるサイトカイン産生プロファイルを示し、免疫抑制的な機能を持つT細胞サブセットです(文献1)。TGF-βを産生するTh3細胞やIL-10を産生するTr1細胞の他、最近はCD4+CD25+のT細胞サブセットが注目を集めています。
ノックアウトマウスや疾患モデル動物による多くの研究から、CD4+CD25+Treg細胞は末梢での免疫学的寛容に重要な役割を果たしており、アレルギーや自己免疫疾患の発症と、抗原特異的免疫応答や炎症反応調節の両方に関与するサブセットであることが示唆されています。
また、CD4+CD25+Treg細胞の作用は、IL-10に加えて、細胞表面のCTLA-4(CD152)等を介した直接的な細胞間接着も重要であると考えられています。
ヒトの末梢血リンパ球にもCD4+CD25+のTreg細胞が存在します。このサブセットはCD45RO+で、マクロファージや未熟樹状細胞が分泌するケモカインのレセプタであるCCR4や活性化T細胞の分泌ケモカインのレセプタであるCCR8を発現しています(文献2)。ヒトのCD4+CD25+Treg細胞においても細胞内にCTLA-4の発現が認められ、活性化に伴い細胞表面に発現します(文献3)。また、マウス、ヒトともに、CD4+CD25+Treg細胞の分化成熟にはFOXP3遺伝子の発現が必要であることが最近明らかになり、Treg細胞に特異的なマーカーとして期待されています(文献4)。
Treg研究の多くは磁気ビーズ等で分離精製したCD4+CD25+リンパ球を材料としており、マルチカラーFCM分析のアプリケーションとしても有望です。
Treg細胞の免疫抑制はエフェクターT細胞増殖への直接的な作用であり(文献5)、Treg細胞の働きを調節することで、種々の免疫疾患の病態を制御しうると考えられます。すなわち、GVHDやアレルギー、自己免疫疾患では、抗原をパルスした未熟樹状細胞によるTreg細胞の誘導によって抗原特異的な寛容に導き、悪性腫瘍や慢性の感染症に対しては、成熟樹状細胞を用いた抗原特異的エフェクターT細胞の誘導に加えて、Treg細胞の機能を阻害することで抗原特異的な免疫応答をより増強できる可能性があります(文献1, 6)。