FCMのための精度管理入門

Ⅴ.精度管理データの解釈

1. 統計学的な異常

精度管理データは、何らかの統計学的な処理を利用して評価します。したがって、データの解釈には統計学的な知識が必要です。一方で統計学的な判断が絶対的なものではなく、統計学的な判断基準によっては異常と思われたデータも、十二分に説明のつく理由が明確であれば、測定値として異常ではないかもしれません。逆に、統計学的には異常でなくとも、測定系に明確な異常(たとえば、サンプル調整のミスや機器の整備不良など)が発生しているのであれば、その条件で測定した測定結果に十分な信頼性はないということになります。
こうした判断のためには、自身の測定系や実験系の特性、さらには測定条件等を十分に理解して、また記録しておくことが重要です。すなわち、統計学的なデータ管理はあくまでも自施設の測定値に信頼性をもたせ、もし測定系に異常が発生しているのであれば、それを速やかに発見するための一手段に過ぎないという点を十分に認識しておくことが大切です。

図4:Levey-Jennings chart の利用による“異常“の発見

図4:Levey-Jennings chart の利用による“異常“の発見

赤線で囲ったデータのうち、統計学的にも“異常”といえるのはA,Bどちらの場合か?
逆に、“統計学的に”問題がない場合には、精度管理上の問題が全く起こっていないと判断して良いか??