FCMのための精度管理入門

Ⅳ.精度管理の方法

2. 管理検体を使用しない内部精度管理

内部精度管理の方法として、管理検体を使用しないいくつかの方法も利用されています。ただしこれらの方法は統計学的な確率論に基づいており、毎測定時に、安定して一定数以上の検体を得ることのできる条件が整っていることが必要になります。1日のうちに提出された検体の中から毎回同数(n=10程度)を精度管理用としても測定してその平均値やバラツキをモニタリングしていく方法で、小規模病院のような、毎回の測定数が少数の場合等には向きません。

なお、こうした管理検体を使用しない内部精度管理の方法には下記のようなものがあります1)。詳しくは、各種参考書をご参照ください。

① 反復測定法 基本的に精密性を評価する方法で、同じサンプルを再測定した場合には、同じ測定値が得られるはずであるという仮説に基づいています。特に管理用検体や多数の検体を用意せずに、ある1回(1日)の測定における、測定系の精密性を評価することができます。
② ナンバープラス法 毎測定時に対象とする検体の集団にある一定のバラツキがあり、かつ大きな差がない場合には適用できますが、実験的にある処理をした細胞群とそうでない細胞群の測定などが測定時毎に変化するような場合では適用できません。したがって、ある程度の検体数が安定して提出される臨床検査室向けの精度管理方法の1つということができます。
50検体程度の測定結果から最頻値(モード)を算出し、これを超える測定値の個数(ナンバープラス)の割合を日々モニタリングしていく方法です。
③ 正常者平均値法 ナンバープラス法の改良版ともいえる方法で、「検体測定値の大半は正常値範囲に入り、その正常値範囲に含まれる測定値の平均値は安定である」という前提に基づきます。やはり、ある一定規模以上の臨床検査室に適した方法ということができます。

参考書籍
1) 林 長蔵 ほか 編:精度管理の方法,第二版,医歯薬出版株式会社,東京,44-98,1985