FCMのための精度管理入門

Ⅳ.精度管理の方法

実際の精度管理は、内部精度管理と外部精度管理の大きく2つに分けることができます。内部精度管理は自施設内での取り組みであり、主に精密性の向上に力点があるといえます。一方の外部精度管理は、自施設と他施設の測定値を比較することが基本で、正確性の向上に力点を置いた取り組みということができます。

1. 管理検体による内部精度管理

内部精度管理では主に精密性の監視、向上を目的としており、このためには同一のサンプルを測定したときの測定値がいつでも一定であるかどうかを評価しなくてはなりません。最も広く行われているのが管理検体を用いた測定値のモニタリング(-R管理図法)で、市販のコントロール試料やオリジンを同一にする検体(管理検体)を一定の条件下に保存しておき、未知試料の測定時ごとにこの管理検体を同時に測定(二重測定)します。二重測定の平均()を毎回-R管理図にプロットして、前回測定時と同一の測定結果が得られているかをモニタリングしていきます。また、これと同時に管理検体を二重測定したときに得られる個々の測定値の差(R)をモニタリングします。最終的にはXおよびRの値の推移から、測定系の精密性が良好に保たれているかどうかを判断することになります。

なお、良否の判断基準として、あらかじめ測定したn=20程度の測定値から「管理限界」を設定しておくことも重要です。管理限界の設定方法にも様々な方法がありますが、最も汎用されている方法として、観測値(XまたはR)の平均値±2SDを利用する方法があります(平均値±2SDの意味については、Ⅴ-2.管理限界と平均値±2SDを参照してください)

図2:-R管理図の例

-R管理図は、臨床検査における精度管理ではLevey-Jennings chart と呼ばれることもありますが、この場合には日々の測定値X(ではない)を時系列順にプロットして行く方法を指すことがあります。


Levey-jennings プロット(Cytomics FC500 CXPソフトウエア)