【 サイトメトリーとは】5. 次世代への分岐点

では次世代のサイトメトリーはどうなるのでしょうか。その1つの方向が、最新のデジタルテクノロジーを駆使した形態学への回帰です。

従来の散乱光を用いたフローサイトメトリーでは、高分解能な形態情報は得られませんが、コールター原理を前方散乱光の代わりに用いることによって、高精度な細胞体積の定量分析が実現できます。弊社では、ハイレゾリューションフローサイトメーター Cell Lab Quanta SCを発売しました。

フローサイトメーターのもう1つの方向が、最新のデジタルプロセッサーを用いた超高速デジタル信号処理によるウルトラハイスピードフローサイトメーターの開発でしょう。1秒間に数万個から10万個の細胞を測定しても、まったく数え落としをしない“夢”の技術を搭載した超高速セルソーターや超高速セルアナライザーが登場します。全自動化技術を装備したハイスループットアナリシスやハイスループットソーティングが研究を大きく加速します。

 

   
Side Population Cell(SP細胞)

 

  MHCテトラマー 100万個のリンパ球を測定

 

 


レーザーイメージングサイトメーター

一方、イメージングサイトメトリーは、非共焦点レーザー走査方式により蛍光イメージ測定の定量精度を改善し、FCMと同等の定量分析を実現しました。近年、このレーザーイメージングサイトメトリーは、特に定量イメージングサイトメトリー(Quantitative Imaging Cytometry)と呼ばれます。QICは、さらに微分干渉像のようなレーザー散乱光イメージと、HE染色などの細胞組織化学染色に対応した透過光(吸光)イメージを加えた測定を可能にしました。

最新の定量イメージングサイトメーターは、最大4種類のレーザーを搭載し、最大4カラー蛍光、散乱光(微分干渉)、最大3カラー透過光を、各パラメーター(面積値、積分値、ピーク値、周辺長、細胞内スポット数など)で取得し、FCMと同様のドットプロットなどを駆使したゲート解析ができます。また、これらの各細胞イメージを重ね合わせて、総合的な形態画像も提供できます。 QICはFCMでは不可能なゲート内細胞の各形態画像リストアップ表示や、細胞内局在の解析、生細胞亜集団の経時変化測定など、FCMが苦手とする形態学的情報を定量データで提供できます。