蛍光試薬の特性と応用

1. 蛍光検出の原理

図1 ジャブロンスキー図

図1 ジャブロンスキー図

多くの有機化合物やいくつかの無機化合物は紫外線や可視光線を吸収し励起状態になる。基底状態(S0,一重項状態)から光吸収によって第一(S1)、第二(S2)、第三励起状態(S3),…,のどれかの振動状態に励起された分子は、無放射過程で非常に速やかに緩和してS1電子励起状態に移るか、あるいは項間交差によって三重項状態(T1,T2)へ移る。S1の最低振動状態になった分子は、無放射過程によるか蛍光を発して基底状態に戻る。三重項状態になった分子は、無放射過程によるかりん光を発して基底状態に戻る。
一重項同士の遷移は瞬間的に起こるため、蛍光の半減期は10-4ミリ秒以下と短いものである。一方、三重項から一重項への遷移はスピン変化禁止により禁制遷移となり自発的放出が起こりにくいので、リン光の半減期は大きく、秒単位のものも珍しくない。
基底状態に戻る際に光を発するか否か、光の強度が強いか弱いか、蛍光寿命が長いか短いかは、その分子構造や分子の置かれた環境に大きく依存する。そのような性質を利用することにより、様々な検出に利用されている。