FCMの原理入門講座

Ⅷ.データ処理系

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A/D変換後の各パラメータの数値データを用いて、コンピュータと解析ソフトウエアは、各種のヒストグラムを作成し、統計解析を行い、データを印字し記憶します。多くのパラメーターを用いるFCM解析(FACS解析)では、ゲーティングを多用します。

1. ヒストグラム

ヒストグラム

個々の細胞の測定パラメータをチャンネル値に従ってチャンネル軸上にプロットしてゆくと、細胞数頻度分布が形成されます。このようなグラフをヒストグラム(Histogram)または1パラメータヒストグラムと呼びます。 1パラメータヒストグラムは細胞数(カウント)をY軸にとり、測定パラメータをX軸にとったグラフです。ヒストグラムのX軸の右へ行く程、強く光った細胞の数を表します。1パラメータヒストグラムのX軸は、通常1024のチャンネルに分割されています。パラメータ軸にはログスケール(Log、対数)とリニアスケール(Linear、線形)が選択できます。免疫蛍光のような強度差の大きな情報を取得する場合はログスケールを使用し、細胞周期の解析のような強度差が小さく直線性のある情報を取得する場合はリニアスケールを使用します。 2種類のパラメータについて表した頻度グラフを2パラメータヒストグラムまたはサイトグラムと呼びます。2つのパラメータの相関を知ることができます。

X軸とY軸にそれぞれパラメータを割り当て、左下を(0.0)チャンネルとします。各軸は通常、128チャンネルまたは256チャンネル、1024チャンネルに分割されます。2つのチャンネルが交わる部分のカウントをドット密度によって示します。ヒストグラムの右上に行く程、2種類の光が強い細胞の数を表します。例えばFSとSSの2パラメータヒストグラムをとると、ヒト末梢血白血球はリンパ球、単球、顆粒球の集団に分かれます。

ゲーティング

ゲーティング

実際にデータを取得するサンプルの中にはデータに必要のない細胞やデブリが入っていることがあります。
例えば、ヒト末梢血の測定でリンパ球の中の何%が強く蛍光物質に染色されているか調べるとき、末梢血中の単球や顆粒球の蛍光には関心がないことになります。サンプルの中の関心のある細胞集団だけを選び出し、その細胞のみのヒストグラムを作ることをゲーティングと呼びます。このヒストグラムを『ゲートがかかっているヒストグラム』と呼びます。
フローサイトメーターで測定/取得したデータは3パラメータ以上含まれるケースがほとんどで、また、サンプル中には、複数のサブポピュレーション(亜集団)が含まれることがあります。その中の目的とする細胞集団に着目した解析(クラスター分析)を行うためには、データを絞り込む必要があります。このデータの絞り込みをゲート解析と呼びます。絞り込み条件は、ゲートリージョン(Gate Region)と呼ばれる領域指定を用いた条件式のような形で設定します。ゲート条件が設定されたヒストグラムには、目的の細胞だけがプロットされます。
例えば、末梢血白血球を5万個測定しデータを取得した場合、リンパ球が1万2千個しかなければ、リンパ球のゲートがかかったヒストグラムは1万2千個に関してのデータを表します。
目的細胞を指示するゲートリージョンは1パラメータヒストグラム、2パラメータヒストグラム上どちらにでも描くことができます。また1つのヒストグラムに複数のゲートをかけることができます。
ゲートリージョンを用いて、関心のある細胞集団のみでヒストグラムを作成するのではなく、関心のある細胞集団に、色を塗ることによって視覚的に理解させる方法もあります。

アナリシス

ヒストグラム上にリージョンを作成すると、そのリージョン内にある細胞に関する統計データを得ることができます。ヒステグラム上にある全細胞の何%がリージョンの中に含まれるか、リージョン内の細胞の数・平均値・CV値等を表示します。

グラフ

ポリゴーショナルリージョン
(多角形)

クオドラントリージョン
(4分割)

グラフ

レキュタンギュラリージョン
(四角形)

シングルリニアリージョン
(直線)

測定細胞数(目的細胞集団)が多いと、ばらつきの少ない高い精度の統計データを得ることが出来ます。また、精度は陽性率により異なります。陽性率が2%の場合、CV値で5%の精度が必要ならば、目的細胞を少なくとも8,000個は測定する必要があります。

グラフ