フローサイトメーターは、サンプル中の目的の細胞や細菌、酵母の濃度(個/mL)を、2種類の方法で測定することができます。現在、フローサイトメーターのサンプル供給の方式は2種類あり、それにより、濃度測定法が異なります。
加圧吸引方式のフローサイトメーターは、内部標準法により、細胞濃度(個/mL)を測定することができます。内部標準物質となる濃度既知のビーズ液を、サンプルに対して一定の割合で添加し、そのビーズ数との比で、目的細胞の濃度(個/mL)を求めることができます。便利な自動計算プログラムが内蔵されている機種があります。
加圧吸引方式はサンプル量を連続的に多量吸引できるので、希少細胞の検出感度を向上させることが容易です。
図7.内部標準法 残存白血球数測定
シリンジ吸引方式のフローサイトメーターは、サンプルの一定量(例えば、100μL)を正確に吸引することができるので、フローサイトメーターの標準ソフトウエアで自動換算して、細胞濃度(個/mL)を表示することができます。内部標準物質の添加は不要で、測定が容易です。
図8.シリンジ吸引方式 生死細胞数測定(Hoechst33342/PI染色)
蛍光色素 | 最大励起波長 | 最大蛍光波長 | 説明 |
---|---|---|---|
PI | 305/536nm | 617nm | 死細胞検出 |
YOYO-1 | 491nm | 509nm | 死細胞検出 |
7-AAD | 546nm | 647nm | 死細胞検出 |
Ethidium homodimer-1 | 528nm | 617nm | 生細胞染色、Calcein AMと2カラーで細胞生死測定 |
SYTO9 | 483nm | 500nm | 生細胞染色 |
FDA | 488nm | 530nm | 生細胞染色 |
Calcein AM | 496nm | 517nm | 生細胞染色 |
LDS751 | 543/590nm | 712/607nm | 生細胞染色 |
図9.生死細胞数測定(PI染色)
図10. 生死細胞数測定(FDA/PI染色)
図11.生死菌数測定(Syto9/PI染色)
セルバイオロジーでは、多くの抗体を同時に用いる表面マーカー解析のような、多くの蛍光を同時に測定するマルチカラー検出系は必要ありません。3カラーで十分でしょう。むしろ、高い蛍光分解能、UV光励起、細胞体積測定、シリンジ吸引方式が、これからは必須の機能になります。これらを装備するハイレゾリューションフローサイトメーターの登場により、細胞周期、アポトーシス、細胞機能、生死判定などのアプリケーションは、さらに高い次元に到達できるでしょう。