フローサイトメーターによる悪性リンパ腫の解析 -A to Z-

4.細胞保存と関連検査の準備(余分な細胞は保存する)

FCMによる細胞表面形質の解析は,固定しない生細胞を用いるため,固定による抗原の変化や賦活化処理の不安定性などを考慮する必要がない。しかし、生細胞による解析であるため細胞保存は、凍害防止処理した凍結保存が必要である。その方法は、一般的な細胞培養技術であるので、ここでは簡単な手順を示す。

  1. 細胞濃度は1x107/mL(1x106~1x108/mL)とし、遠心し細胞沈査とする。
  2. 細胞凍結液は、10%DMSO・10%牛胎児血清加RPMI1640培地とし、低温で使用する。なお、10%牛胎児の代わりに5%アルブミン液を1/10量(終濃度0.5%になるように)添加しても良い。また、RPMI1640培地の替わりに他の細胞培養液(MEM,D’MEM,F12など)でも良い。DMSOは溶液と混ぜると発熱するので、DMSO1容量に良く冷えた10%牛胎児血清加RPMI1640培地9容量を加えた溶液を、予め用意し冷蔵しておく。
  3. 1の細胞沈査を2の冷細胞凍結液で上記の濃度となるように浮遊し、細胞凍結用クライオチューブにすばやく移し、綿花で包んでハロンカップ等の容器に入れて、-80℃のディープフリーザーに入れる。クライオチューブの包み方は、1分間に-1℃ずつ温度が下がるように包むのが理想である。
  4. 細胞の解凍は、クライオチューブ(1mL用)を37℃の恒温槽で振りながら溶かし、暖めた10%牛胎児血清加RPMI1640培地10mLにパスツールピペットにてすばやく移し、直ちに遠心する。沈査をほぐし再度10%牛胎児血清加RPMI1640培地10mLにて遠心洗浄を行う。なお、細胞濃度や生存率のチェックは2回目の10%牛胎児血清加RPMI1640培地で細胞浮遊した時に調べる。

-80℃細胞凍結保存(1年は保存可能)

-80℃細胞凍結保存(1年は保存可能)

この凍結細胞はほぼ万能であり、FCM以外に染色体分析やFISH,遺伝子検査に用いることができ、浮遊細胞液が余った場合は、凍結保存しておくと良い。その他、細胞数が少ない時には、染色体分析用のカルノア細胞保存もFISH(プローブによるが数ヶ月から数年)や遺伝子検査に用いることもでき、また前述したように、マーカー検査の染色済細胞もDNA ploidy検査やFISH、さらに遺伝子検査に用いることができるので、FCMの解析結果から優先順位をつけて効率良く検索を進めるように心掛ける。