フローサイトメーターによる悪性リンパ腫の解析 -A to Z-

3.解析方法

【1】解析領域(標本のイメージを散乱光サイトグラムで確認)

成熟型リンパ性腫瘍の病型とマーカーの関係については、病型特異的なマーカーの存在により病型診断可能な症例が多い。しかし、急性白血病と同様に腫瘍細胞であるが故に細胞形質は様々な多様性を示し、各病型において例外的な症例は多く存在する。そのためマーカーの解釈には各解析領域において細胞の構成や各系統での分化抗原の発現量を注意深く観察し、総合的に判断する必要がある。

主なB細胞性リンパ腫の病型分類

  B-LBL BKT MCL FL DL MZL CLL/SLL HCL LPL MM/PC
TdT + - - - - - - - - -
cIg +/- - - - - -/(+) - - + +
sIg -/(+) M M,D + + + + + M,(D-) -/(+)
CD10 + + - +/(-) -/(+) - - - - -/(+)
CD19 + + + + + + + + + -/(+)
CD20 -/(+) + + + + + + + + -/(+)
CD22 +/- + + + + + +/- + + -/(+)
CD23   - - -/+ -/(+) -/(+) +/(-) - -/(+) -/(+)
CD5 - - + - -/(+) - +/(-) - - -
CD11c - - - - -/(+) +/- -/(+) + -/+ -
CD25 -/(+) - - +/- -/(+) -/(+) -/(+) +/-   -/(+)
CD38 + + + + +/- -/(+) -/(+) +/- + ++

主なT細胞性リンパ腫の病型分類

  T-LBL αβ-PTCL γδ-PTCL ATLL AITL ALCL NKCL
TdT + - - - - - -
CD1a -/+ - - - - - -
CD2 + +/(-) + + + -/+ +
cCD3 +/- + + + + -/(+) +
sCD3 -/(+) +/w + +/w +/- -/+ -
CD5 + + + + + -/+ -
CD7 + +/(-) + -/(+) +/- -/+ +/-
CD4/8 CD4-8-
CD4+8+
CD4+ or CD8+
CD4+
or
CD8+
CD4-8-
>
CD4+ or CD8+
CD4+>>CD8+
CD4+8+
CD4+>>CD8+
CD4+8+
CD4-8-
CD4+>CD8+ CD8-/(+)
TcR αβ>γδ αβ γδ αβ αβ αβ/- -
CD10 +/- - - - + - -
CD16 - - +/- - - - +/-
CD56 -/(+) - + -/(+) -/(+) -/(+) +
CD25 - - - +   +/- -
CD30 - - - -/(+) - + -
低悪性度B細胞性リンパ腫の鑑別チャート(CD5,10,23の利用)
CD5
(+) (-)
CD23 CD10
(-) (+) (+) (-)
MCL CLL/SLL FL MZL
IgM,IgD(+) CD38(-)
典型例は70-80%
典型例は70-80%
進展例でBKTと鑑別
末梢血ではHCL,LPL

DLBについて(様々なパターンが存在する)
DLBの一部 CD5+ DLBの一部 CD10+ DLBに多い
  DLBの極一部 CD5+10+  

まず、FS、SSの散乱光サイトグラム上で細胞分布を観察し、細胞の大きさ・異常な集団の有無から少なくとも3つのゲートを設定する(小型;末梢血リンパ球大、大型;もしくは異常細胞、全体;全てのリンパ球領域)。
細胞の大きさが異なる集団は、基本的に抗原の発現量、自家蛍光量、さらにFcレセプターの発現量に差があるため、それぞれで陰性カットラインを設定し解析する。また、全リンパ球を解析するのは、解析した細胞浮遊液中の腫瘍細胞の割合を知るのに必要である。
腫瘍細胞の割合は、サザン法による遺伝子解析を実施する際の検出感度の問題と、FISH法における観察時の異常出現頻度の予測、さらにDNA量から求めた腫瘍細胞の割合(DNA aneuploid cells)との比較を行い、一致しない時に異なる形質の腫瘍細胞の存在を疑う必要があり、重要な所見である。

細胞領域とsurface IgL鎖解析

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