1. はじめに
造血器腫瘍におけるフローサイトメトリーは、モノクローナル抗体の開発に伴い早期から急性白血病の診断検査に応用され普及した。従来は、増殖した腫瘍細胞の表面形質を明らかにする診断目的であったが、最近では微小残存白血病の検索など高度な検索が望まれている。悪性リンパ腫においても臨床応用は早期から行われてきたが、実施施設は少なく十分な普及とはいえない。その原因にはコスト削減による医療施設のフローサイトメトリー離れもあるが、材料が非日常的な生検組織を扱うことへの抵抗感や腫瘍性の判断をするという検査目的の難しさ、責任の重さがあると考えられる。
しかし、フローサイトメトリーは迅速性・客観性に優れているほか、腫瘍細胞の高い検出率、病型特異マーカーや多くの予後マーカーの存在から臨床的意義は非常に高い。また、DNA ploidyの検索において、悪性リンパ腫ではaneuploidy を示す症例が多いことから、腫瘍性の判定と腫瘍細胞量の評価に有用であり,操作も簡便で低コスト・僅かな検体量で実施可能など,悪性リンパ腫には欠かせない検査である。
Propidium iodideによるDNA量の測定
(DNA histogram)