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HLDA8(第8回CDワークショプ)特派員報告

95種のCD追加/変更で、CD1a〜CD339に!

<雑誌掲載情報>
  • 感染・炎症・免疫 Vol.35-1 Spring 2005(医薬の門社)にHLDA8関連の記事が掲載されました。
  • CD分類の新たな展開 -HLDAからHCDMへ-

         弊社セルラーマーケティング本部 サイトミクスマーケティング部 橋本 亙
         大阪大学大学院医学系研究科 細胞分子認識分野 宮坂 昌之 先生
  • 臨床免疫 Vol.43 No.5 May 2005(科学評論社)にHLDA8関連の記事が掲載されました。
  • CD分類の新たな展開

         弊社セルラーマーケティング本部 サイトミクスマーケティング部 橋本 亙
         大阪大学大学院医学系研究科 細胞分子認識分野 宮坂 昌之 先生

    別刷りがあります。送付をご希望の方(先着50名様まで)は、こちらまで

<更新情報> 2005年11月2日
HLDA8新規CD一覧表と記事の一部を2005年10月末現在得られている情報に基づき修正しました。
HLDA8新規CD関連の弊社製品情報に近日発売予定の製品を追加し、情報を更新しました。
<会議の概要 − ASI・AFCGと合同開催>

2004年12月12〜16日にオーストラリア・アデレードで第8回ヒト白血球分化抗原に関する国際ワークショップ会議(略称HLDA8、通称CDワークショップ)が開催されました。

今回のCDワークショップは、Heddy Zola会長(Child Health Research Institute in Adelaide)のオーガナイズの下、第34回オーストラリア免疫学会(ASI)、第27回オーストラリア フローサイトメトリー研究会(AFCG)との合同開催として行われ、オセアニアをはじめ世界各国から免疫細胞、造血発生、細胞機能等の研究者が集まりました。

アデレードは南オーストラリア州の州都で、オーストラリアで有数の大都市です。会場のアデレードコンベンションセンターは、アデレードの中心部である“シティ”北側のNorth Terrace通りにあり、反対側はトレンス川のほとりに広がる公園に面しています。フェスティバルセンターや南オーストラリア州議事堂、アデレード駅などが隣接しており、近くにはアデレード大学や植物園もあって、緑の多い落ち着いた雰囲気の街並の中にあります。

(写真下:会場となったアデレードコンベンションセンター)

   

会場は大ホールと会議場に分れており、口演発表は全て会議場で行われました。

合同プログラムは、日本免疫学会のそれとよく似ており、午前中にプレナリー講演とシンポジウム、午後は全てワークショップです。午前と午後にそれぞれ30分程度のティーブレイクがあり、1時間のランチタイムとともにポスターディスカッションの時間となっています。また、13日、14日の2日間のみ、AFCGの口演プログラムが同時進行で行われました。

口演、ポスターともに、演題の数は日本免疫学会のそれよりかなり少なく、発表内容の面では、樹状細胞、NKT細胞、CD4+CD25+ regulatory T細胞などに関連付けた発表が目に付きました。また、日本からは、宮坂昌之先生(阪大)のAllan Williams追悼講演をはじめ、中内啓光先生(東大医科研)、谷口克先生(理研)、改正恒康先生(理研)らが、プレナリーやシンポジウムなどの重要なプログラムで講演されました。

HLDA8ワークショップにおける検討結果の大半は、最終日までにワークショップもしくはポスターで概要が明らかにされました。そして、最終日午後のHLDA8サマリーでセクション毎に新CDの概要と注目すべき検討結果等が報告され、引き続いてHeddy Zora会長から今後のHLDAの方針等についての説明がありました。

大ホールでは企業展示があり、午前と午後のティーブレイク、昼食、夕方のカクテルタイムには、ポスターディスカッションを兼ねた食事や飲み物のサービスがありました。企業展示は全般的にこじんまりしたものでしたが、ベックマン・コールター社は、サイトメトリー関連機器の実機展示と、昼食等のケータリングサービスをご提供させていただきました。

(写真下:展示会場)

展示会場イメージ1   展示会場イメージ2

<HLDA8の主な成果−CD339まで定義>

HLDA8ワークショップにおける検討は、前回のCDワークショップ(2000年、英国ハロゲート)の直後から15のセクション毎に進められてきました。とくに新CDの候補となる“Pre-CD”分子については、抗体提出者による情報や既発表論文に基づき、遺伝子トランスフェクタント等を用いたフローサイトメトリー分析を中心に、リンパ組織の免疫組織染色やウェスタンブロッティング等の補助的な手段を組み合わせて、特異性や機能的特徴が検討されました。その結果、93種類の新規分子がCDとして定義され、ワークショップCD(“CDw”として表記)の正規CD化を含めると、95種のCDが追加もしくは変更されて、CD番号リストの終端はCD339になりました。
その一方で、CD番号の付け方については、しばしば議論になりました。とくにa,b,c等の枝番号の使い分けでは、一部の新規CDに関して激しい議論があり、ワークショップを通じてCD番号の設定に一貫性を欠いている点が問題点として浮き彫りになった印象を受けました。(この結果、ワークショップ会議後に一部のCD番号が変更になっています。)

HLDA8新規CD分子の一覧はこちら

  1. Animal Homologueセクション(Section Organizer: A. Saalmueller, B. Aasted)

    HLDAワークショップでは,その名称のごとく,ヒト細胞に対するモノクローナル抗体のみが評価の対象となりますが,その一方で,獣医免疫学領域を中心に,ブタやウシなどの白血球分化抗原を対象としたCD分類や他の動物種に対するヒトCD抗体の交叉反応性の検討が独自に行われていました。このため,HLDA8ではAnimal Homologueの検討セクションが新たに設置され,試薬メーカーから提供を受けたモノクローナル抗体を中心とした377抗体を用いて、ヒトCDモノクローナル抗体のヒト以外の動物に関する交叉反応性について横断的な検討が行われました。
    ヨザル(Aotus),カニクイザル,アカゲザル,ウシ,ヒツジ,ヤギ,ブタ,ウマ,イヌ,ネコ,ミンク,ラマ,ウサギ,モルモット,ニワトリ,ニジマス、コイといった,霊長類以外の哺乳動物や鳥類、魚類にも及ぶ17種類の動物を用いた研究から、CD9、CD11a、CD14、CD18、CD21、CD29、CD44、CD45、CD47、CD49d、CD61、CD86、CD91、CD172aで、一部もしくは大半の抗体で霊長類以外の動物種に対して交叉反応が認められました。
    とくにCD11a、CD14、CD18、CD29、CD44、CD47、CD49d、CD172aについては、10種以上の動物に交叉反応を認めた抗体があり、エピトープが系統発生的によく保存されていることが確認されました。
    問題点や今後の課題としては、FCMによる細胞表面の発現確認が中心で、分子生物学的な検討が十分でないことやHLDAワークショップの制約上、マウスやラットのCD抗原に対して作られた抗体が検討対象外であることなどを上げることができます。
    Animal Homologueセクションの検討結果は、Cellular Immunology誌に掲載予定です*1。

    *1 Saamuller A, et al. Summary of the animal homologue section of HLDA8. Cell Immunol 2005: in press.

  2. B細胞セクション(Section Organizer: P. Engel)
  3. 提出された96抗体のうち、既存CDもしくはHLA class-U抗原に反応するもの以外について検討を行い、OX40L(CD252)、TRANCE(CD254)、BAFF-R(CD268)、BCMA(CD269)、ICOSL(CD275)、CD9-P(CD315)など10種類の分子(一部は他のセクションでも検討)にCD番号が割り当てられました。HLDA8における検討の中心はTNFRスーパーファミリーとB7ファミリーに属する分子でしたが、今後はFcR-homologue分子も検討対象となる見込みです。
    B細胞セクションの検討結果は、Cellular Immunology誌に掲載予定です*2。

    *2 Vidal-Laliena M, et al. Characterization of antibodies submitted to the B cell section of the 8th Human Leukocyte Workshop by flow cytometry and immunohistochemistry. Cell Immunol 2005: in press.

  4. 糖鎖抗原/レクチンセクション(Section Organizer: R. Schwartz-Albiez)
  5. 最終日のサマリー発表はなく、14日のワークショップで概要が討議されました。 CD24、CD26、CD45などでは、実際には糖鎖を認識する抗体がタンパク抗原のCDとして分類されており、さらに抗体が認識する糖鎖がCD分子の体内分布や機能的な特徴に影響しています。このことから、HLDAワークショップにおける糖鎖研究の重要性が再認識され、他のセクションとのクロスオーバーの問題、CD60aとCD60b、CD60cのように構造的によく似ていても機能的には全く異なる糖鎖を認識する抗体のCD番号付けなどが議論されました。

  6. サイトカイン/ケモカインレセプターセクション(Section Organizer: M. Uguccioni)
  7. サイトカイン/ケモカインのレセプターについては、HLDA7で“Reserved CD”として空白となっていたCDの大半が埋まり、CCケモカインレセプター、CXCケモカインレセプターの多くがCD化されました(CD181〜CDw186およびCD191〜CDw199)。また、IL-18R(CDw218aおよびCDw218b)やTRAILレセプター群(CD261〜CD264)などにもCDが割り当てられました。
    なお、HLDA8においてCXCR1(IL-8Rα)がCDw128aからCD181に、CXCR2(IL-8Rβ)がCDw128bからCD182に、それぞれ変更になりましたので、注意が必要です。

  8. 樹状細胞セクション(Section Organizer: D. Hart)
  9. 末梢血から分化誘導した樹状細胞(DC)のFCM分析と二次リンパ組織の免疫組織染色で抗体を評価し、DCL1(CD302)、BDCA2(CD303)等のC型レクチン分子、B7 homolog群等の共刺激分子(CD273〜CD276)、CMRF35ファミリー(CD300a〜e)等の機能調節分子を中心に11種類の分子(一部は他のセクションでも検討)にCD番号が割り当てられました。
    樹状細胞セクションの検討結果は、Cellular Immunology誌に掲載予定です*3。

    *3 Clark G, et al. Eighth Leucocyte Differentiation Antigen Workshop DC section summary. Cell Immunol 2005: in press.

  10. Ectoenzymeセクション(Section Organizer: F. Malavasi)
  11. 最終日のサマリーでは報告がありませんでしたが、13日のワークショップなどで概要が討議され、ART1(ADP-ribosyltransferase 1; CD296)、ART4(Dombrock抗原; CD297)等にCD番号が割り当てられました。
    なお、Section Organizerの共同研究者によるB-CLL細胞のCD38を介した増殖メカニズムに関する研究が“Walter Knapp Young Investigator Award”を受賞しました。

  12. 内皮細胞セクション(Section Organizer: J. Morrissey)
  13. セクション報告がなく、検討結果の詳細は不明です。L-SIGN(CD299)、VEGFR2(KDR;CD309)、JAM-2(CD322)、ABCG2(CDw338)等にCD番号が割り当てられています。

  14. Malignant Cellsセクション(Section Organizer: P. Macardle)
  15. ワークショップに提出された抗体をT細胞、B細胞、骨髄細胞、神経芽細胞腫のそれぞれに由来する細胞株と末梢血の血液細胞でスクリーニングし、限定した特異性を示す抗体について、さらに造血器腫瘍の腫瘍細胞等に対する反応性を調べました。その結果、リコンビナントタンパクを免疫原とした抗体では、同じCDであっても腫瘍細胞への反応性が異なることが確認されましたが、最後の結論は、「良い抗体は全て(のアプリケーション)に良いわけではないし、悪い抗体が全てに悪いわけではない」というものでした。

  16. 骨髄細胞(Myeloid)セクション(Section Organizer: S. Goyert)
  17. セクションレポートとしてまとまった報告がなく、検討結果の詳細は不明です。トピックは、好塩基球の活性化マーカー発現に関する報告で、CD203cやCD164等のectoenzymeは活性化の初期から発現が増強するが、CD63、CD107aなどの脱顆粒マーカーは活性化の後期に発現し、刺激の種類によっては発現がみられないこと等が示されました。Leptin Receptor(CD295)、EMR2(CD312)、Siglec-9(CDw329)等にCD番号が割り当てられています。

  18. NK細胞セクション(Section Organizer: H. Warren)
  19. 提出された23種類の抗体のうち19種類が既存のnon-CD分子を認識しています。LAIRファミリー分子(CD305)、NKp46などのNatural Cytotoxiciy Receptor群(CD335〜CD337)のほか、NKG2C(CD159c)、NKG2D(CD314)など7種類のNK関連分子にCD番号が割り当てられました。
    NK細胞セクションの検討結果は、Cellular Immunology誌に掲載予定です*4。

    *4 Warren HS. The eighth Human Leucocyte Differntiation Antigen (HLDA8) workshop: Natural Killer cell section report. Cell Immunol 2005: in press.

  20. Non-lineageセクション(Section Organizer: V. Horejsi)
  21. 提出された97抗体のうち、既知のnon-CD分子あるいは未知の分子を認識している33抗体について検討が行われ、TLRファミリー分子(CD281〜CD289)、Na+,K+ ATPase β3 subunit(ATP1B3;CD298)、JAM-1(CD321)などにCD番号が割り当てられました。なお、今回もKi67などの核内の増殖関連抗原やシグナル伝達分子は、CDにはなりませんでした。また、新規CD分子の候補だったMICAおよびMICBは、提出されたモノクローナル抗体の反応特異性に問題がみられたため、CD化が見送られました。

  22. 幹細胞/前駆細胞セクション(Section Organizer: P. Simmons, D. Haylock)
  23. 臍帯血より分離した単核球とG-CSFで前駆細胞をmobilizeした末梢血を検体に用いて、提出された41抗体のLineage- CD34(PE-Cy7)+分画への反応性を検討し、さらに抗体陽性かつCD34+/lowの分画をsortingして、in vitro clonogenic assayとNOD/SCID repopulation assayを実施しました。
    その結果、これらの抗体はCD34+分画に反応する抗体とCD34+分画には反応しないか一部の反応する抗体に大別されました。CD34+とCD34-の両方の細胞群を含む全ての造血幹細胞とMesencymal stem cell、Neural stem cellに発現するCDCP1(CUB domain containing Protein 1;CD318)などの新規分子にCD番号が割り当てられました。

  24. ストロマ細胞セクション(Section Organizer: C. Isacke, C. Buckley)
  25. 第7回ワークショップ(HLDA7)で赤血球や血管内皮細胞の分化抗原がCDに入ったのに続いて、HLDA8ではストロマ細胞も検討対象となりました。
    提出された62抗体より選別した20抗体について骨髄ストロマ細胞と組織 線維芽細胞に対する反応性やT細胞、B細胞、単球などへの交叉反応性を評価し、線維芽細胞に特異的でHUVEC細胞には発現しないEndosialin(TEM1;CD248)のほか、Endo180(uPARAP;CD280)、BST-2(CD317)、8D6(CD320)、E-cadherin(CD324)等の分子にCD番号が割り当てられました。また、 線維芽細胞のみに発現する分子に加えて、そのサブセットを規定する分子の検索が今後の課題として上げられました。
    ストロマ細胞セクションの検討結果は、Cellular Immunology誌に掲載予定です*5。

    *5 Buckley CD, et al. Report on antibodies submitted to the stromal cell section of HLDA8. Cell Immunol 2005: in press.

  26. T細胞セクション(Section Organizer: A. Bensussan)
  27. ワークショップに提出された29種類の市販抗体と30種類の市販されていない抗体について、18施設で評価検討が行われました。その結果、BTLA(CD272)、PDL2(CD273)、PDL1(CD274)、ICOS(CD278)、PD1(CD279)などのB7ファミリー分子に対するレセプターを中心とした8種類の分子にCD番号が割り当てられました。

  28. Blind Panelセクション(Section Organizer: H. Zola, B. Swart)
  29. 細胞種毎のセクションをまたいで抗体の反応特異性を評価するBlind Panel解析では、提出された600種類以上の抗体から既存の分子に反応する508抗体を除いた101抗体と32種類のコントロール抗体(ネガティブコントロール、CD3、CD14、CD15、CD19、CD45RA)を対象として、FCMで調べた各種の細胞における抗原発現について抗体間の相関性を解析するとともに、ウェスタンブロッティングで認識分子の同一性を確認しました。
    その結果、抗原発現プロファイルが同様である6抗体によるグループが見出され、うち2抗体はウェスタンブロッティングの結果も同一で、新規CDの可能性が示唆されました。他にも可能性のあるグループが複数確認されましたが、詳細の解明は今後の検討に委ねられ、CD番号の割り当てはありませんでした。
    Blind Panelセクションの検討結果は、Journal of Immunological Methods誌に掲載されています*6。

    *6 Swart B, et al. The HLDA8 blind panel: Findings and conclusions. J. Immunol. Methods 2005; 305: 75.

<今後のCDワークショップ − HLDAからHCDMへ>
4日間に及ぶ会議の締め括りとして、HLDAワークショップのCouncilで討議された今後のHLDAの方針等について、Heddy Zora会長から説明がありました。

第一に、CDが白血球以外の細胞にも使われるようになったために、ワークショップの呼称を“HLDA”(Human Leucocyte Differentiation Antigens)から“HCDM”(Human Cell Differentiation Molecules)へと改める旨の提案がありました。

また、新規分子をCDとして定義するための基準として、

その分子に対する抗体が一つ以上存在すること
遺伝子がクローニングされているか(タンパク抗原の場合)、エピトープの性状が十分に解析されていること(非タンパク抗原の場合)

の2点が改めて示されました。

さらに、HCDMワークショップに求められる役割として次の4点が示されました。

  1. 新規CDの命名(国際免疫学連合の委嘱による)
  2. 抗体が既存のCDに該当するかどうかの評価
  3. 細胞の分化抗原に関する横断的な情報交換の場(forum)の提供
  4. CD分子の特徴やモノクローナル抗体、ハイブリドーマ等に関する情報バンク

しかしながら、抗体の評価については、既存CDの抗体の評価は別の組織を作って行うべきとする意見がありました。
HCDMワークショップにモノクローナル抗体が提出され、それが明確な反応特異性を示せば、その抗体クローンは当該CDの抗体として公式に認められます。しかし,最適な抗体タンパク濃度や蛍光標識などの設定は,その抗体を市販化する試薬メーカーに委ねられているため,同じCD抗体でもメーカー間差や蛍光標識の違いによるデータ乖離、あるいは抗体の“over-dilution”による見た目の特異性の変化といった実用上の問題点が生じ,それらはHCDMワークショップのみでは解決が困難だと思われます。
また、4)の情報バンクについても、CDの拡大に伴い膨大な情報量となっていく既発表の知見をいかに整理して提供していくのか、解決の難しい課題です。

このような役割や課題に対応していくため、HCDMワークショップの組織は次のように変更されることとなりました。

  • ワークショップの会長は、当面Heddy Zora先生が継続
  • Councilメンバーの増員
  • 研究領域の進歩に合わせたセクション構成の見直し
  • 各セクションは、Organizer Lab 1施設 + Reference Lab 2〜3施設で構成
  • 1年単位でのワークショップ検討評価とその結果のインターネット公開

また、次回HCDMワークショップに向けての“Milestone”として、HLDA8で得られた結果の書誌化(会議開催の時点では、“Leucocyte and Stromal Cell Molecules: the CD Markers Book”として刊行予定)とorphan receptorsなど最近注目されている分子群にフォーカスした研究の早期開始の2点が示されました。

HLDA8の新規CDの一覧とHCDMの概要については、Blood誌*7等に公表されているほか、HCDM(旧HLDA8)ホームページ(http://www.hlda8.org/)で参照できます。また、次回のHCDMワークショップ会議は、ISAC(the International Society of Analytical Cytology)の1セクションとして、2006年5月にケベック(カナダ)で開催される予定です。

*7 Zola H, et al. CD Molecules 2005: Human Cell Differentiation Molecules. Blood 2005; 106: 3123.

<HLDA8新規CD関連のベックマン・コールター社製品>
ベックマン・コールター社の抗ヒトnon-CDモノクローナル抗体試薬との関連では、以下の分子に新たにCD番号が割り当てられました。 CRTH2(CD294) CRTH2は、7回膜貫通Gタンパク共役受容体(GPCR)の一つで、GPR44とも呼ばれています。Th2クローンに選択的に発現する分子として見出され、後にプロスタグランジンD2レセプターの一つであることが明らかになりました。Th2およびTc2サブセットに選択的に発現するほか、好酸球、好塩基球にも強く発現しています。
  • CRTH2(CD294) 

    CRTH2は、7回膜貫通Gタンパク共役受容体(GPCR)の一つで、GPR44とも呼ばれています。Th2クローンに選択的に発現する分子として見出され、後にプロスタグランジンD2レセプターの一つであることが明らかになりました。Th2およびTc2サブセットに選択的に発現するほか、好酸球、好塩基球にも強く発現しています。
    >>CRTH2へ

  • NKG2D(CD314)

    NKG2Dは、全てのNK細胞とNKT細胞、γδT細胞、CD8+T細胞の一部に発現するC型レクチンファミリーの活性化型NKレセプターです。NK細胞では、様々なサイトカイン(IL-15、IL-12、IFNγ)の作用で発現強度が増大します。NKG2Dのリガンドとして、MICAとMICB、ULBPが同定されています。NKG2Dでトリガリングされたシグナルは、KIR(CD158)とHLAクラスT分子の相互作用でもたらされた抑制シグナルより上位に位置します。NKG2Dは、NKG2A(CD159a)やNKG2C(CD159c)など他のNKG2ファミリー分子とのホモロジーが低く、CD94と複合体を形成しないなど異なる点が多いため、それらとは別にCD番号が付与されています。
    >>NKG2Dへ

  • E-cadherin(CD324)

    E-cadherinは、上皮細胞のCa++依存性同種接着を媒介する接着分子で、L-CAM(Liver Cell Adhsion Molecule)とも呼ばれています。HLDA8では、ストロマ細胞セクションができたことからE-cadherinにCD番号が割り付けられました。
    >>E-cadherinへ

  • NKp46(CD335)

    NKp46は、分子量46kDaの膜貫通糖タンパクで、MHC非拘束性の細胞障害を惹起するNK特異的な標的レセプターです。NK細胞上で標的細胞を認識するレセプターであるNCR(Natural Cytotoxicity Receptor)のプロトタイプと考えられており、NCR1、Ly94等の別名があります。CD3-/CD56+/CD16-フェノタイプを含む全てのNK細胞に発現する活性化型レセプターで、リガンドとしてインフルエンザウィルスおよびセンダイウィルスの血球凝集素が同定されていますが、ウィルス由来でないナチュラルリガンドは不明です。
    >>NKp46へ

  • NKp44(CD336)

    NKp44は、分子量44kDaの膜貫通糖タンパクで、活性化したNK細胞に選択的に発現しています。NK細胞上で標的細胞を認識するレセプターであるNCR(Natural Cytotoxicity Receptor)分子の一つで、NCR2、Ly95等の別名があります。未刺激の末梢血NK細胞にはほとんど発現せず、NK細胞の活性化に伴い発現が認められます。NKp44のリガンドは不明です。
    >>NKp44へ

  • NKp30(CD337)

    NKp30は、分子量30kDaの膜貫通糖タンパクで、MHC非拘束性の細胞障害を惹起するNK特異的な標的レセプターです。NKp46、NKp44とともに、これまでに同定されているNCR(Natural Cytotoxicity Receptor)分子の一つで、NCR3、Ly117等の別名があります。NKp30は、CD3- CD56bright CD16-サブセットを含む全ての休止および活性化NK細胞に限定して発現しています。細胞表面のNKp30発現はNKp46と並行しており、NKp46dullの細胞はNKp30dullであり、NKp46brightの細胞はNKp30brightのフェノタイプを示します。NKp30のリガンドは不明ですが、NKp30を介した未熟樹状細胞(iDC)への細胞障害が報告されています。
    >>NKp30へ

  • IRp60/CMRF35H(CD337)<近日発売予定*>

    Inhibitory receptor protein(IRp60)は、全てのヒトNK細胞とT細胞サブセットや単球、顆粒球に発現する分子量60kDaの免疫グロブリンスーパーファミリー分子です。IRp60は機能抑制性のレセプター分子で、NK細胞上のIRp60分子のクロスリンキングによって、SHP1およびSHP2フォスファターゼが動員、活性化されて、チロシンリン酸化タンパクの脱リン酸化によって活性化シグナルカスケードが遮断され、その結果、NK細胞の細胞障害活性が阻害されます。IRp60のリガンドはまだ明らかにされていませんが、HLAクラスT分子は認識していないものと考えられています。

    *この製品の発売予定につきましては、別途ご案内いたします。

  • p75/AIRM1/Siglec-7(CDw328)<2006年発売予定*>

    p75 adhesion inhibitory receptor molecule-1(p75/AIRM1)は、シアル酸結合Ig様レクチンとホモロジーのある免疫グロブリンスーパーファミリー分子です。p75/AIRM1は、CD33関連Siglecサブグループに属し、Siglec-7とも呼ばれています。p75/AIRM1は、NK細胞、単球、慢性骨髄性白血病(CML)細胞及び急性骨髄性白血病細胞の一部に発現しています。この分子は、HLAに依存しない機能抑制性のレセプターで、細胞内領域に古典的なITIMモチーフを持ち、NK細胞の機能調節に役立っていると考えられます。

    *この製品の発売予定につきましては、別途ご案内いたします。

<HLDA8新規CD一覧> 2005/10/31修正
  • この表は、2005年10月末現在得られている情報に基づいています。
  • CDw113、CD118およびCD181〜CDw218bは、HLDA7のReserved CDもしくはWorkshop CDの正規CD化です。
    CD156c、CD159c、CD172b、CD172gおよびCD248以降が、HLDA8において初めて追加されたCDです。
  • CD番号の( )は、HLDA8のReserved CDであることを示しています。
CD番号 別 名
(CD287) Reserved for TLR7
(CD288) Reserved for TLR8
CD289 TLR9
(CD290) Reserved for TLR10
(CD291) Reserved for TLR11
CD292 BMPR1A (Bone morphogenetic protein receptor, type IA) , ALK3
CDw293 BMPR1B, ALK6
CD294 CRTH2, GPR44 (G protein-coupled receptor 44), PGD2 receptor
CD295 LEPR (Leptin receptor), OB-R
CD296 ART1(ADP-ribosyltransferase 1)
CD297 ART4, Dombrock blood group glycoprotein
CD298 ATP1B3 (Na+,K+-ATPase β3 subunit)
CD299 DCSIGN-related, L-SIGN (Liver-specific ICAM3-grabbing nonintegrin)
CD300a CMRF35H, IRC1, IRp60(Inhibitory receptor protein 60)
CD300c CMRF35A, CMRF-35
CD300e CMRF35L1
CD301 MGL (Macrophage galactose-type C-type lectin), HML2, CLEC10A, CLECSF14
CD302 Type-I transmembrane C-type lectin receptor DCL-1, BIMLEC
CD303 BDCA2 (Blood dendritic cell antigen-2), Dendritic lectin, CLEC4C, CLECSF11
CD304 BDCA4, Neuropilin-1, NRP1, VEGF165R
CD305 LAIR1 (Leukocyte-associate Ig-like receptor 1)
CD306 LAIR2
CD307 IRTA2(Immunoglobulin superfamily receptor translocation associated 2), IFGP1, FcRL5
(CD308) Reserved for VEGFR1
CD309 VEGFR2 (Vascular endothelial growth factor receptor 2), KDR, Flk-1
(CD310) Reserved for VEGFR3
(CD311) Reserved for EMR1
CD312 EMR2 (EGF-like module containing, mucin-like, hormone receptor 2)
(CD313) Reserved for EMR3
CD314 NKG2D, KLRK1(Killer cell lectin-like receptor subfamily K member 1)
CD315 CD9P1(CD9 Partner 1), PTGFRN (Prostaglandin F2-R negative regulator)
CD316 EWI2(Glutamine-Tryptophan-Isoleucine 2), IGSF8, CD81P3(CD81 Partner 3)
CD317 BST2 (Bone marrow stromal cell antigen 2)
CD318 CDCP1 (CUB domain-containing protein 1)
CD319 CRACC (CD2-like receptor activating cytotoxic cells), SLAMF7, CS1, 19A
CD320 8D6 antigen; FDC
CD321 JAM1(Junction adhesion molecule 1), F11R(Platelet F11 receptor), PAM-1
CD322 JAM2, VE-JAM
(CD323) Reserved for JAM3
CD324 E (Epitherial)-cadherin, ECAD, Cadherin-1, CDH1
CDw325 N (Neural)-cadherin, NCAD, Cadherin-2, CDH2
CD326 Ep-CAM, TACSTD1 (Tumor-associated calcium signal transducer 1), KS1/4
CDw327 Siglec-6 (Sialic acid binding Ig-like lectin 6), CD33L1(CD33 antigen-Like 1), OBBP-1
CDw328 Siglec-7, p75/AIRM1
CDw329 Siglec-9, FOAP-9
(CD330) Reserved for Siglec-10
CD331 FGFR1(Fibroblast growth factor receptor 1), bFGF-R, FLT2
CD332 FGFR2, BEK, KGF-R (Keratinocyte growth factor receptor)
CD333 FGFR3, JTK4
CD334 FGFR4, JTK2, TKF
CD335 NKp46, NCR1, NCTR1 (Natural cytotoxicity triggering receptor 1), Ly94
CD336 NKp44, NCR2, NCTR2, Ly95
CD337 NKp30, NCR3, NCTR3, 1C7, Ly117
CDw338 ABCG2 (ATP-binging cassette, subfamily G (WHITE), member 2), MRX, BCRP
CD339 Jagged-1, JAG1, JAGL1
CD番号 別 名
CDw113 Nectin3, PVRL3 (Poliovirus receptor-related 3)
CD118 LIFR (Leukemia inhibitory factor receptor)
CD156c ADAM10 (A disintegrin and Metallo-proteinase domain 10), MADM
CD159c NKG2C, KLRC2 (Killer cell lectin-like receptor subfamily C, member 2)
CD172b SIRPβ1(Signal-regulatory protein-β1)
CD172g SIRPβ2(Signal-regulatory protein-β2), SIRPγ
CD181 CXCR1, IL-8Rα (CDw128aより変更)
CD182 CXCR2, IL-8Rβ (CDw128bより変更)
CD185 CXCR5, BLR1(Burkitt's lymphoma receptor-1)
CDw186 CXCR6, CXCL16-R
CD191 CCR1, CMKBR1; RANTES-R, MIP-1α-R
CD192 CCR2, CMKBR2, MCP-1-R
CD193 CCR3, CMKBR3, Eosinophil eotaxin-R
CD196 CCR6, CKRL3, GPRCY4, LARC-R, MIP-3α-R
CD197 CCR7, BLR2, EBI1, SLC-R, MIP-3β-R (CDw197 ⇒ CD197)
CDw198 CCR8, CKRL1, GPRCY6; TARC-R, MIP-1β-R
CDw199 CCR9, CMBRK9, GPR-9-6
CDw218a IL18R1, IL1Rrp, IL-18Rα
CDw218b IL18RAP(IL-18R accessory protein), IL-18Rβ
CD248 TEM1 (Tumor endothelial marker 1), Endosialin, CD164 sialomucin-like 1
CD249 ENPEP, Gultamyl aminopeptidase, Aminopeptidase A, gp160, EC 3.4.11.7
(CD250) Reserved
(CD251) Reserved
CD252 OX40L, CD134 ligand, TNFSF4
CD253 TRAIL (TNF-related apoptosis-inducing ligand), APO2L, TNFSF10
CD254 TRANCE (TNF-related activation-induced cytokine), RANKL, ODF, OPGL, TNFSF11
(CD255) Reserved for TWEAK
CD256 APRIL (A proliferation-inducing ligand), TALL2, TNFSF13
CD257 BLyS (B-lymphocyte stimulator), BAFF, TALL1, TNFSF13B
CD258 LIGHT, HVEM-L(Herpesvirus entry mediator-ligand), TNFSF14
(CD259) Reserved for NGF
(CD260) Reserved
CD261 TRAIL-R1, DR4, APO2, TNFRSF10A
CD262 TRAIL-R2, DR5, TNFRSF10B
CD263 TRAIL-R3, DCR1, TNFRSF10C
CD264 TRAIL-R4, DCR2, TNFRSF10D
CD265 RANK(Receptor activator of NF-KB), TRANCE-R, ODF-R, TNFRSF11A
CD266 TWEAK-R, Fn14(FGF-inducible immediate- early response protein 14), TNFRSF12A
CD267 TACI(Transmembrane activator and CAML interactor), APRIL-R, BLyS-R, TNFRSF13B
CD268 BAFF-R, BLyS-R3, TNFRSF13C
CD269 BCMA, B cell maturation factor, TNFRSF17
(CD270) Reserved for LIGHT-R
CD271 NGFR (Nerve growth factor receptor), p75(NTR), TNFRSF16
CD272 BTLA (B and T lymphocyte attenuator/ B and T lymphocyte associated), B7H4-R
CD273 B7DC, PDL2, PDCD1L2 (Programmed cell death-1 ligand-2)
CD274 B7H1, PDL1, PDCD1L1
CD275 B7H2, B7RP1, ICOSL (Inducible T-cell co-stimulator ligand)
CD276 B7H3, B7 homolog 3
CD277 BT3.1, BTF5, BTN3A1 (Butyrophilin subfamily 3, member A1)
CD278 ICOS(Inducible T-cell co-stimulator), AILIM
CD279 PD-1, PDCD1 (Programmed cell death 1)
CD280 Endo180, TEM22, MRC2, uPARAP (uPAR-associated protein)
CD281 TLR1 (Toll-like receptor 1)
CD282 TLR2
CD283 TLR3
CD284 TLR4
(CD285) Reserved for TLR5
(CD286) Reserved for TLR6

参考: HLDA7 CD分類チャート

 ※ 表中の主な略語
 CAM  cell adhesion molecule  IL  インターロイキン
 CCR  CC-ケモカインレセプター  KLR  killer cell lectin-like receptor
 CXCR  CXC-ケモカインレセプター  -L  リガンド
 DC  樹状細胞  NK  NK細胞
 DR  Death Receptor  P, p  タンパク(protein)
 FcR  Fcレセプター  PG  プロスタグランジン
 GP, gp  糖タンパク(glycoprotein)  -R  レセプター
 GPR  Gタンパク共役型受容体  -SF  スーパーファミリー
 ICAM  inter-cellular adhesion molecule  TNF(R)  腫瘍壊死因子(レセプター)
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