

1. マルチカラー解析と蛍光補正
多重染色法を用いたマルチカラー解析を行えば、新たな情報が得られ、また研究室の生産性が高まります。例えば、4種類の抗体の組み合わせではわからなかったことが、5種類の抗体の組み合わせを用いれば新たな知見が容易に得られるかもしれません。また、6種類の抗体を使用する際、3カラー測定で二度に分けて測っていた測定を、6カラー測定で一度にすれば、2倍の生産性になり、コストも削減されます。
参考:The Journal of Immunology (2007年) における4カラー以上のマルチカラー測定を用いた文献数

例えば、5種類の抗体から4種類を用いて4カラー測定を行う場合、その組み合わせは、5種類の組み合わせがあります。パスカルの三角形を用いると簡単に求めることができます。N個の抗体から、r個の抗体を選ぶ組み合わせの値は、パスカルの三角形の上から( n + 1)番目の端から(r + 1)番目の数になります。例えば、7種類の抗体から4種類を選ぶ組み合わせは、35種類の組み合わせがあります。7種類の抗体の解析は、4カラーフローサイトメーターでは、35種類の組み合わせで、35回測定する必要がありますが、それでも、7カラーフローサイトメーターが一度に求められる7種類の抗体の相関関係は解析できません。
図1.パスカルの三角形

蛍光色素とフローサイトメーターの進歩により、1種類のレーザー(488nm)を搭載したフローサイトメーターで、5カラー解析が行えます。2種類のレーザーを搭載したフローサイトメーターを用いれば、7カラー解析が行えます。3種類のレーザーを搭載したフローサイトメーター(図2.参照)を用いれば、9カラー解析が可能です(表1.参照)。
表1.一般的なマルチカラー解析の蛍光色素
| レーザー |
パラメータ |
蛍光色素 |
| 488nm |
FL1 |
FITC,GFP,CFSE,Alexa Fluor 488 |
| FL2 |
PE |
| FL3 |
ECD,PEAlexa Fluor 610,PI,Odot605 |
| FL4 |
PC5,PerCP,PE-Cy5.5,PerCP-Cy5.5,7-AAD,Odot655 |
| FL5 |
PC7,PE,Alexa Fluor 750,Odot705 |
| 405nm |
FL6 |
Pacific Blue,Cascade Blue,DAPI,CFP |
| FL7 |
Casdade Yellow,Pacific Orange,AmCyan,YFP,Odot565 |
642nm
(633nm) |
FL8 |
APC |
| FL9 |
APC-Cy7,APC-Alexa Fluor 750,APC-Cy5.5,Alexa Fluor 700*,Odot800,
Alexa Fluor 750 |
マルチカラー解析には、上記のようなメリットがありますが、4カラー以上のマルチカラー解析は、蛍光補正の組み合わせが複雑になり、不正確になります。4カラーで12項目、9カラーで72項目の蛍光補正値を決定し入力する必要があります。
一部のデジタルフローサイトメーターが装備する高精度自動コンペンセーション機能を用いれば、9カラー解析でも容易に正確な蛍光補正が行えます。サンプルの各単染色サンプルを測定して、その蛍光波長分布を記憶させ、Bugwellが発明した逆行列解析法により、すべての蛍光補正の項目を自動的に決定することができます。
図2.3レーザー搭載9カラーフローサイトメーター 概略図

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