3. 生細胞や生菌などの濃度(個/ml)が簡単に測れること
フローサイトメーターは、サンプル中の目的の細胞や細菌、酵母の濃度(個/ml)を、2種類の方法で測定することができます。現在、フローサイトメーターのサンプル供給の方式は2種類あり、それにより、濃度測定法が異なります。
- 加圧吸引方式 :
- サンプルが入っているチューブを、ふたをして加圧し、圧の低いノズルからサンプルが吸引され、フローセルに供給される
- シリンジ方式 :
- シリンジポンプを用いて、チューブから一定量のサンプルを吸引し、装置内に一旦貯え、シリンジポンプにより押し出され、フローセルに供給される
加圧吸引方式のフローサイトメーターは、内部標準法により、細胞濃度(個/ml)を測定することができます。内部標準物質となる濃度既知のビーズ液を、サンプルに対して一定の割合で添加し、そのビーズ数との比で、目的細胞の濃度(個/ml)を求めることができます。便利な自動計算プログラムが内蔵されている機種があります。
加圧吸引方式はサンプル量を連続的に多量吸引できるので、希少細胞の検出感度を向上させることが容易です。
図7.内部標準法 残存白血球数測定

シリンジ吸引方式のフローサイトメーターは、サンプルの一定量(例えば、100μL)を正確に吸引することができるので、フローサイトメーターの標準ソフトウエアで自動換算して、細胞濃度(個/ml)を表示することができます。内部標準物質の添加は不要で、測定が容易です。
図8.シリンジ吸引方式 生死細胞数測定(Hoechst33342/PI染色)

表2.生死測定用の蛍光色素
| 蛍光色素 |
最大励起波長 |
最大蛍光波長 |
説明 |
| PI |
305/536nm |
617nm |
死細胞検出 |
| YOYO-1 |
491nm |
509nm |
死細胞検出 |
| 7-AAD |
546nm |
647nm |
死細胞検出 |
| Ethidium homodimer-1 |
528nm |
617nm |
生細胞染色、Calcein AMと2カラーで細胞生死測定 |
| SYTO9 |
483nm |
500nm |
生細胞染色 |
| FDA |
488nm |
530nm |
生細胞染色 |
| Calcein AM |
496nm |
517nm |
生細胞染色 |
| LDS751 |
543/590nm |
712/607nm |
生細胞染色 |
図9.生死細胞数測定(PI染色)

図10. 生死細胞数測定(FDA/PI染色)

図11.生死菌数測定(Syto9/PI染色)


まとめ
セルバイオロジーでは、多くの抗体を同時に用いる表面マーカー解析のような、多くの蛍光を同時に測定するマルチカラー検出系は必要ありません。3カラーで十分でしょう。むしろ、高い蛍光分解能、UV光励起、細胞体積測定、シリンジ吸引方式が、これからは必須の機能になります。これらを装備するハイレゾリューションフローサイトメーターの登場により、細胞周期、アポトーシス、細胞機能、生死判定などのアプリケーションは、さらに高い次元に到達できるでしょう。
- 細胞周期解析では、UV励起のDAPI蛍光色素が使え、CV値が良いこと
- アポトーシス解析では、細胞の大きさの変化を、コールター原理により定量化できること
- シリンジ方式により、生細胞や生菌などの濃度(個/ml)が容易に測れること