検査室のためのFCM検査の基礎

Z. フローサイトメトリーの臨床検査応用

現在、保険診療として実施の可能なフローサイトメトリーが用いられる臨床検査項目を以下に示します。


検査項目 項目別点数 その他関連
フローサイトメトリー法による
T細胞・B細胞百分率検査 
210  免疫学的検査判断料:144 
モノクローナル抗体法による
T細胞サブセット検査(一連につき) 
220  免疫学的検査判断料:144 
フローサイトメトリーのTwo-color分析法
による赤血球検査 
290  免疫学的検査判断料:144 
リンパ球幼若化検査(一連につき)  290  免疫学的検査判断料:144 
抗血小板抗体検査  270  免疫学的検査判断料:144 
顆粒球機能検査
(種目数にかかわらず一連につき) 
200  免疫学的検査判断料:144 
表面免疫グロブリン検査
(一連につき) 
170  免疫学的検査判断料:144 
モノクローナル抗体法による
造血器悪性腫瘍細胞検査(一連につき) 
1,000 血液学的検査判断料:125 

また、手術(造血幹細胞移植)の一連のプロセスとして、フローサイトメトリーを用いた検査が実施されるケースがあります。


手術 同種骨髄移植  57,200 CD34陽性細胞数測定 
自家末梢血幹細胞移植  30,000  CD34陽性細胞数測定 
同種末梢血幹細胞移植  55,000 CD34陽性細胞数測定 
自家造血幹細胞移植  25,000  CD34陽性細胞数測定 
臍帯血移植  44,300 CD34陽性細胞数測定 

これらの中で病院の臨床検査室や臨床検査センターでよく実施されているフローサイトメトリーのアプリケーションは、以下の3種類です。


@リンパ球サブセット解析

ACD34陽性細胞数の測定

B白血病/悪性リンパ腫タイピング


いずれもHIVなどの免疫疾患や、白血病などの血液疾患の診断、移植治療で非常に重要な検査となっています。
また、これらの分析は、現在の技術ではフローサイトメトリーを用いない限り分析できないものです。


臨床検査分野でのフローサイトメーターの応用

フローサイトメトリーの原理につきましては、本Webサイト サイトメトリードットコム内にて、詳しく説明されています。

@リンパ球サブセット解析


CD抗原などの細胞表面抗原を蛍光標識したモノクローナル抗体で標識して(Y.目印の見つけ方 −モノクローナル抗体による染色― 参照)、リンパ球サブセットそれぞれの割合や、特定サブセットの細胞数の変化を調べます。
この検査で用いられる代表的なCD抗原は、CD3(T細胞)CD4(ヘルパーT細胞)CD8(細胞障害性T細胞)CD19(B細胞)CD56(NK細胞)です。これら以外の抗原を利用して詳細なサブセット解析を行うこともあります。また、細胞質内の抗原を染色することもあります。例えば、細胞内サイトカイン(アプリケーションノート参照)を染色することで、Th1(Type1ヘルパーT)細胞とTh2(Type2ヘルパーT)細胞を解析することもできます。

tetraCXPデータ

ACD34陽性細胞数の測定


CD34は造血幹細胞(血液学の基礎参照)が持つ代表的な細胞表面抗原です。国際細胞療法学会(ISCT)では真の造血幹細胞はCD34陽性、CD45弱陽性で、側方散乱光は中程度以下であると提唱しています。造血幹細胞の絶対数を測定することは白血病治療において非常に重要で、体重あたり2×106個/kgの幹細胞を移植することが治療成功のために必要であるといわれています。
先に挙げた特徴を持つ細胞の絶対数を精密に測定できる技術は、モノクローナル抗体を用いたフローサイトメトリーに限られており、臨床検査における重要なアプリケーションのひとつになっています。詳しくはアプリケーションノート11を参照ください。

stemCXPデータ

B白血病/悪性リンパ腫タイピング


造血幹細胞(血液学の基礎参照)は、さまざまな血液細胞(赤血球、血小板、白血球など)に分化します。白血病は、どの血液細胞が腫瘍化(がん化)したのかによって、その後の治療方針が大きく異なります。“どの細胞“といった場合、リンパ球なのか、単球なのか、T細胞なのか、B細胞なのかといった、どの系統の細胞なのかという意味と、より幼弱な細胞なのか、あるいはより成熟した細胞なのか、といった、どの成熟段階の細胞なのかという二つの意味が含まれます。
白血病タイピングはこうした二つの意味を含めて、“どんな細胞が腫瘍化しているのか“を調べる検査であるということができます。実際の検査に当たっては、リンパ球サブセット検査と同様に、さまざまな細胞表面や細胞質内に存在する抗原を蛍光標識モノクローナル抗体で染色して、対象となる白血病細胞を解析します。


T細胞系  CD1, CD2, CD3, CD4, CD5, CD7, CD8, 
B細胞系  CD19, CD20, FMC7
骨髄系  CD13, CD14, CD33, CD34, CD117 
その他  CD10, CD38, CD56, HLA-DR, CD41/CD61, Glycophorin-A 

詳しくは、白血病タイピング検査概論

CD45/SS

リンパ腫タイピングは、リンパ腫の細胞を調べることになります。ただしこの場合、リンパ節の細胞が対象になるため、あらかじめ細胞がひとつづつばらばらになった浮遊細胞に調製しておく必要があります。

詳しくは、FCMによる悪性リンパ腫の解析


精度管理
これらの検査を正確に行うためには、精度管理が重要になります。コントロール血球による内部精度管理や、施設間精度管理が行われている検査である必要があります。


フローサイトメトリーの精度管理につきましては、FCMのための精度管理入門にて、詳しく解説されています。



細胞表面マーカー分析(全血法)における誤差要因
donorsnet
骨髄バンク、ドナー登録はこちら

 参考 プレゼンテーションファイル

   臨床におけるフローサイトメーターの応用:PDF3.2MB

前ページへ目次ページへ次ページへ
top
サイトマップ サイト内検索 お問い合わせ
HOME サイトメトリー 細胞解析装置システム 試薬・抗体・サポート製品 CD分類チャート サポート&サービス アプリケーション 総合案内 BECKMAN COULTER