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■ 高精度自動蛍光補正ADC


 
 

現状の不満点・問題点

FCM測定上の問題点のひとつに、蛍光漏れ込み補正(コンペンセーション)があります。

1980年頃は、2つの抗体を同時に測定する場合、FITCとローダミンで標識した抗体で二重染色し、2カラー測定していました。この測定には、複雑な光軸調整を行う大型水冷ArとKrレーザーを用いたデュアルビーム測定が必要でした。

1980年代の前半にPE(Phycoerythrin)が発見され、ローダミンの替わりに用いることで、シングルレーザーで、簡単に2つの抗体が同時に測れるようになり、2カラー測定は急速に普及しました。

しかし、この簡便なシングルレーザー2カラー測定では、一方の蛍光が他方の蛍光検出器に漏れ込む点が問題になります。

そこで、蛍光の漏れ込みによりデータが不正確になるのを防ぐために、その漏れ込み分を電気的に差し引いて補正する電気回路を搭載しました。 この補正は、測定者が単染色のサンプルを測定し、2カラーのヒストグラムを見ながら、単染色陽性細胞集団が水平または垂直の位置になるように、差し引き量を調整し蛍光補正します。

この測定法は、測定者の主観が入り、不正確なデータになる可能性がありますが、現在でもこの目視による補正法が行われています。4カラー以上のマルチカラー測定では、実質的に調整不可能です。

フルマトリックス法(逆行列法)の原理

1993年、Bugwellらが、数学的に蛍光漏れ込み解析を行うFull Matrix Color Compensation :FMCC法を発表しました。

単染色サンプルの各蛍光色素からの蛍光波長分布を逆行列解析を用いて解析する画期的なこの方法は、主観が入らず、非常に精度の高い究極の蛍光補正解析方法でした。

しかし、当時、残念ながらそれを実現するハードウエア技術(18ビット以上のA/D変換、高速パルス演算処理)がありませんでした。正確な逆行列解析を行うために、少なくとも、18ビット以上(262,144チャンネル)の高精細なリニアデータが必要です。

2001年、ベックマン・コールターは、100万チャンネルをカバーする20ビットA/D変換や、リアルタイムで逆行列解析をするデジタルシグナルプロセッサDSPを搭載したEPICS XL ADCを開発し、夢のFMCC法を遂に実現しました。

高精度自動蛍光補正ADC(Advanced Digital Compensation)は、20ビット以上のリニアデータを用いてFMCC法による蛍光波長解析を完璧に行うことにより、蛍光色素の各蛍光分布を正確に見極め、それぞれの蛍光成分を定量することができます。

 

このように、高精度自動蛍光補正ADCは今まで不可能であった客観的な高精度のマルチカラーコンペンセーションを可能にし、精度を飛躍的に向上させます。

参考文献

Bagwell,C.B., and Adams,E.G. 1993. Fluorescence Spectral Overlap Compensation for Any Number of Flow Cytometry Parameters. Ann.NY Academy of Science., 677:167-184

 

 

従来法

ADC法

蛍光補正の方法

目視法

FMCC法

主な違い

主観的

3カラー以上は困難

アナログ方式FCM

客観的

あらゆるマルチカラーに対応

デジタル方式FCMで、20ビット以上の分解能が必要



5カラーの高精度自動蛍光補正の場合

5x5 ADCの原理概略